システムエンジニアとして後輩を指導していると、すぐに質問するべきか、それとも自分で考えて行動すべきか、後輩が迷う場面がよくあります。今回は、後輩が成長できるよう「質問するタイミング」と「自主的に考える力」のバランスをどのように取るかについて考えてみます。
自分で考える力を育てる
「少し自分で考えてみて」と伝えることは、問題解決能力を高める上で非常に重要です。後輩に対して何かを指示する際には、答えをすぐに教えるのではなく、まずは自分で考える時間を設けさせることが成長のための第一歩です。しかし、完全に手助けをしないと、後輩が行き詰まり、ストレスを感じてしまうこともあります。
例えば、新しい技術に取り組んでいるときや複雑な問題に直面したとき、後輩がどう対処すべきか迷うのは自然なことです。その際には、少しのヒントを与えたり、方向性を示すだけで後輩は自分で解決に向けた道筋を見つけ出すことができます。ヒントの与え方も重要で、「もう少しだけ深掘りしてみると、意外なところにヒントがあるよ」といった助言をすることで、後輩が自らの力で問題を解決できるように導くことができます。
質問するタイミングを教える
後輩が「どのタイミングで質問すべきか」を理解していることも、成長にとって重要な要素です。何でもすぐに質問するのではなく、まずは自分で調べたり、考えたりしてみることが大切です。しかし、完全に放任してしまうと、後輩がいつ質問すべきかの判断に迷い、結果的に問題を抱えたまま仕事が停滞してしまうリスクもあります。
そこで、「30分考えてわからなかったら質問して」というルールを伝えるのは効果的です。この30分という時間は、後輩が問題を十分に理解し、自分なりの答えを模索するための適切な猶予です。また、質問された際に「この30分間で何を考えたか?」を確認することで、後輩がどのようなプロセスで問題にアプローチしたのかを評価することもできます。これにより、彼らがどのように考えているのかを知り、的確なフィードバックが可能になります。
適切なフィードバックで成長を支援する
後輩が質問してきた際にただ答えを教えるのではなく、問題解決のプロセスを振り返りながらフィードバックを提供することが、後輩のさらなる成長を促します。たとえば、「この解決策にたどり着くために、どんな情報が足りなかったか?」や「次に同じような問題が発生したらどう対処する?」など、プロセスを見直す質問を投げかけると良いでしょう。
また、フィードバックはポジティブな面にも目を向けることが大切です。後輩がどこでうまくやったか、どの部分を強化すべきかを具体的に伝えることで、彼らは自信を持って次のステップに進むことができます。このようなフィードバックを定期的に行うことで、後輩は自分の成長を実感でき、やる気も向上します。
質問しやすい環境を作る
質問すること自体にプレッシャーを感じる後輩も多いものです。特に、リモートワーク環境においては、後輩が「質問しにくい」と感じてしまうことがよくあります。対面のコミュニケーションが少ない状況では、質問が途絶えることもしばしばです。これは、後輩が「こんなことを質問していいのだろうか?」と躊躇している場合も多いためです。
リモートワーク環境でも質問しやすい雰囲気を作るためには、定期的にハドルミーティングや1on1の機会を設けることが有効です。また、ビデオカメラを使わない場合でも、チャットツールやプロジェクト管理ツールを活用して、気軽に質問できる環境を整えましょう。オープンなコミュニケーションの場があれば、後輩も安心して疑問を解消することができ、積極的に学びの機会を得ることができます。
たとえば、「こんな基本的なことを聞いても大丈夫ですよ」というメッセージをあらかじめ伝えておくと、後輩は小さなことでも気軽に質問しやすくなります。重要なのは、「質問することが成長の一部である」という意識を植え付けることです。
リモートワークでの課題
コロナ以降、リモートワークが主流となったことで、指導方法にも新たな課題が出てきました。特にビデオカメラをオフにして作業を行うケースでは、後輩が質問するタイミングを逃すことが増えています。これに対処するために、ハドルミーティングを常時オンにしていても質問が出にくい場合、後輩自身が質問するタイミングを見極める能力を持てるよう、事前にルールを設定しておくと良いでしょう。たとえば、毎日の終わりに質問タイムを設けるなど、質問が習慣化するような環境作りが必要です。
まとめ
後輩の成長を促すためには、自主性を尊重しつつ、質問しやすい環境を整えることが不可欠です。適切なタイミングでの質問とフィードバックを通じて、後輩が自らの力で問題解決に取り組む姿勢を育むことができます。また、リモートワーク環境においても、コミュニケーションの工夫次第で質問のしやすさを確保し、後輩の成長をサポートすることが可能です。後輩が自信を持って学び、挑戦し続けられるような指導を心がけましょう。
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