結婚なんて想像していなかった私
正直なところ、私は自分が結婚するなんて想像していませんでした。幼い頃からずっと「ひとりぼっち」で生きていくのだろうと思い込んでいたのです。実際、障害者手帳を持ち、障害年金と生活保護でなんとか生活し、B型作業所で働き続けて、いずれはグループホームに入って一生を終えるのだろうと漠然と考えていました。結婚して家庭を築く未来なんて、自分には関係のない遠い世界の話だと感じていたのです。実際、周囲の友人たちが恋愛や結婚の話題で盛り上がっていても、自分には縁のないことだとどこか寂しく思っていました。
それでも心のどこかで孤独感は消えませんでした。障害のために「周りの人と自分は違うんだ」という意識が常につきまとい、「普通の人とは違う自分」という無意識の壁を自分で作っていたのかもしれません。結婚した今でも、ふとしたときに「自分はひとりなんだ」と感じてしまうことがあります。しかし、そんな未来しか見えていなかった私が、今こうして夫と家庭を築いているのは、ある意味奇跡のような出来事です。自分でも信じられない気持ちですが、現実に私は今、愛する夫と一緒に暮らせています。今、もう私は『ひとりぼっち』ではないのだと実感できることが、本当にありがたい変化です。
運命の出会いと結婚生活
そんな私にも、今の夫と出会い、結婚へと至るご縁が訪れました。彼との出会いは偶然(マッチングアプリ)でしたが、初めは「私なんかが愛されるはずがない」と不安でした。それでも彼はゆっくりと時間をかけて私に寄り添い、少しずつ心を開かせてくれたのです。「どうして自分が彼と結ばれることになったのだろう?」と今でも不思議に思うほど、結婚までの道のりはいつの間にか進んでいた気がします。まるで背中を押されるように人生が流れていき、気づけば彼と一緒になる未来が目の前に拓けていたのです。そして、彼から「結婚しよう」とプロポーズしてもらったとき、私は嬉しさと驚きで胸がいっぱいになりました。その言葉はまるで夢の中で聞いているかのようで、思わず涙がこぼれたのを覚えています。
結婚してからの毎日は、お互いに支え合う場面がたくさんあります。夫は私の障害について理解を深め、体調が優れないときには「無理をしなくていいよ」と言って寄り添ってくれます。その優しさが本当にありがたく、心強い支えです。でも、夫の好意に甘えてばかりではいけないと思い、自分でできることは自分でするよう心がけています。たとえば体調が安定している日は、掃除や洗濯などの家事はできるだけ自分でこなし、家の中を整えるようにしています。そうすることで「養われているだけの存在」にはなりたくない、自分も家庭を支える一員なんだという気持ちを持ち続けるようにしているのです。
素直さは私の強み
夫はよく「君の素直なところが好きだよ」と言ってくれます。自分ではあまり意識していなかったのですが、思ったことをすぐ口にしてしまう正直な性格が、彼にとっては心地よいようです。私は嘘がつけない性格で、嬉しいことも不安なことも隠さず表情や言葉に出てしまいます。人によっては「正直すぎる」と感じるかもしれませんが、夫はそんな私の率直さをポジティブに受け止めて、信頼できる証だと感じてくれています。おかげで私も彼の前では背伸びをせず、ありのままの自分でいられるので、とても気が楽です。
私自身、相手に対して誠実でありたいと常に思っています。結婚生活において素直であること、正直に向き合うことはとても大切だと実感します。お互いが本音を言い合えることで、小さな誤解が生まれてもすぐに解消できますし、相手の気持ちを深く理解することにもつながります。嘘偽りなく向き合う姿勢が、夫婦の信頼関係の土台になっているのです。
付き合い始めのころは、私は統合失調症であることを夫に伝えていませんでした。また、離婚を2回していることと、子供がいることも伝えることができませんでした。つきあって3か月たってやっと打ち明けることができました。夫は驚いてもっと早くいってほしかったといいつつも、怒ったりはしませんでした。
隠し事をしない勇気:タバコの過去を打ち明けた話
実は、私はかつてタバコを吸っていた過去があります。夫と付き合い始めた頃はタバコを吸っていました。あるとき、夫からタバコを止めてほしいと言われました。やめてくれなかったら別れるとまで言われました。私は、タバコを止めて夫を選びました。ただ、一度だけタバコを進められて、吸ってしまいました。
意を決して、自分がタバコを吸ったことを夫に正直に打ち明け、謝りました。彼はものすごく怒りました。その日は別れるといわれて、帰ってしまいました。私はその日ずっと泣いていました。ただ、真剣に謝って何とか許してもらうことができました。それから私はきっぱりとタバコを断つことができました。隠し事をやめて本当のことを打ち明けたことで、私自身も心が軽くなり、夫との信頼関係がより強いものになったと感じています。
結婚生活とお金:自立心を保つ工夫
夫婦になるうえで、お金のことはとても大切なポイントです。結婚前から夫とはしっかり話し合いをして、家計のやりくりをどうするか決めておきました。私の場合、夫には安定した収入がありますが、私自身も障害年金を受給しています。結婚後は、その障害年金の一部を生活費として家庭に入れることにしました。私は自分も経済的に自立しているという意識を持ちたかったのです。
自分の年金から生活費の一部を出すことで、「養ってもらっているだけ」という後ろめたさが薄れ、自分も家計を支えるパートナーなんだと感じられます。お金の取り決めをきちんとしておくことは、お互いに納得感を持って生活するための大事なステップでした。夫婦でお金についてオープンに話し合えたことで、経済面での不安が和らぎ、自分も家族の役に立てているという自信が芽生え、信頼関係もより深まったように思います。
喧嘩しても話し合い、向き合うこと
どんなに仲の良い夫婦でも、時には喧嘩してしまうものです。もちろん、私たち夫婦も例外ではありません。些細な行き違いや意見の衝突で言い合いになることもあります。実際に、私の体調が優れず不機嫌になってしまった日に、ちょっとしたことで言い争いになったこともありました。しかし、大切なのは喧嘩をしないことではなく、喧嘩をしてしまった後にどう向き合うかだと感じます。
私たちは感情的になってしまったときでも、少し冷静になってから必ずきちんと話し合うようにしています。お互いに何に怒り、何に悲しんだのか、自分の気持ちを素直に伝え合うのです。最初は言いにくいこともありますが、避けずに向き合えば、相手の本音や考えが見えてきます。そうして誤解が解けたり、解決策が見つかったりすると、喧嘩の前よりもお互いの理解が深まっていることに気づきます。きちんと話し合って向き合うことが、夫婦関係を良好に保つ秘訣だと実感しています。
日々の暮らしで心がけていること
結婚生活を円満にするためには、大きな決断や努力だけでなく、日々の小さな心がけも重要だと感じます。私たち夫婦は普段の生活で、いくつかのマナーや習慣を大切にしています。その一例を挙げてみます。
- 他人の悪口は言わないこと
- マナーを守ること(お互いに対する思いやりを忘れない)
- 「おはよう」「おやすみ」「ありがとう」など挨拶や感謝の言葉をきちんと伝えること
これらは当たり前のようですが、実践し続けることでお互いに対する敬意と信頼感を育む土台になります。特に挨拶や感謝の言葉は、どんな些細なことでも伝えるようにしています。朝起きたときに「おはよう」と笑顔で声をかけ合い、何か手伝ってもらったら「ありがとう」と忘れずに伝えます。そして夫が仕事から帰ってきたときには玄関で「おかえりなさい」と笑顔で迎え、疲れていそうなら「今日もお疲れ様」とねぎらいます。――そんな小さな積み重ねが、日々の生活に穏やかな空気をもたらしてくれるのです。
お互いを尊敬し、違いを受け入れる
夫婦である前に、一人の人間同士として相手を尊敬する気持ちを忘れないようにしています。私は夫を心から尊敬しています。彼の優しさや忍耐強さ、そして私に障害があっても特別扱いせず一人の女性として対等に見てくれるところに、いつも感謝しています。夫もまた、私の意見や気持ちを尊重してくれます。例えば、私が新しい資格に挑戦したいと言ったときも、夫は「頑張って」と背中を押してくれました。お互いの夢や目標を応援し合える関係でいられることを、幸せに感じています。お互いを思いやり、決して相手を見下したり否定したりしない――そんな姿勢を大事にしています。
もちろん、私たちにも性格や好みの違いはあります。すべてがぴったり合う夫婦なんていませんし、完璧な人間も存在しません。大切なのは、合わない部分も含めて相手を受け入れ、理解し合うことだと感じます。たとえば、私と夫では物事の優先順位のつけ方が違うことがありますが、お互いの考え方を知る良い機会だと捉えるようにしています。最初は理解できないと思ったことでも、相手の立場で考えてみると新たな発見があるものです。そうして少しずつ歩み寄ることで、むしろ二人の絆が強くなっていくのを実感しています。お互いの「違い」さえも受け入れて味方になれる関係こそ、長く幸せに暮らしていく秘訣ではないでしょうか。
まとめ:希望を胸に、自分らしく
障害の有無にかかわらず、結婚という形は自分らしく生きていくためのひとつの選択肢だと私は思います。私の場合、夫と支え合いながら、日々お互いの気持ちに素直に向き合い、尊重し合うことで、穏やかで幸せな結婚生活を送ることができています。たとえば、週末には一緒に近所の公園を散歩したり、二人で映画をみたり、平凡な毎日の中に小さな幸せを見つけながら過ごしています。
もし、同じように障害を抱えながらも結婚を望んでいる方がいたら、私の体験が少しでも参考になれば嬉しいです。大切なのは「自分には何もできない」と思い込むことではなく、「自分はどう生きたいのか」を見つめることだと思います。完璧な人間はいませんし、誰もが何かしらの悩みや弱さを抱えているものです。それでも、自分らしく一歩ずつ前に進んでいけば、きっとあなたに寄り添ってくれる誰かと巡り合える日が来るでしょう。人生は予想もしない出会いや変化に満ちています。私もかつて、自分には結婚して幸せになる未来なんてないのだと絶望しかけた時期がありましたが、小さな希望を手放さずにいたからこそ、今の幸せにたどり着けました。
障害があっても希望を捨てないでください。私自身、かつては結婚なんてできないと思っていたけれど、今こうして愛する人と共に歩む日々があります。あなたも自分を信じて、焦らずに歩み続けてください。その先できっと、明るい未来が待っていると信じています。
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